目次
シャリア・ブルは『機動戦士ガンダム』に登場するニュータイプの一人である。彼は木星エネルギー船団の隊長としての実績が評価され、キシリア・ザビのニュータイプ部隊に配属された。
しかし、初陣で命を落とした彼の存在は物語の中で多くの議論を呼んでいる。
シャリア・ブルのニュータイプとしての能力や運命、そして彼が持つ可能性について考察することは『ガンダム』シリーズの深い魅力を探る上で重要である。
本記事ではシャリア・ブルの役割やその背景に迫りながら、彼がたどった道とその意義について詳しく解説する。
■ポイント!
- シャリア・ブルのニュータイプとしての能力と特性
- 木星エネルギー船団での活躍と実績
- 初陣での敗北の原因と背景
- 富野監督と安彦良和による評価の違いと別の展開
シャリア・ブル ニュータイプとしての素養とは?
- シャリア・ブルのニュータイプ能力
- 木星エネルギー船団での活躍とその実力
- シャアとの出会いとコミュニケーション能力
シャリア・ブルのニュータイプ能力
シャリア・ブルは『機動戦士ガンダム』において、ニュータイプとしての素養が認められたキャラクターである。ニュータイプとは、進化した人間の可能性を示す概念であり、優れた洞察力や感応能力が特徴だ。
シャリア・ブルの能力は、戦闘能力よりも人の心を読み取るコミュニケーション力に優れていた点が挙げられる。この能力により、彼は上司であるキシリア・ザビや、同僚となるシャア・アズナブルの心の動きを察知することができた。その結果、相手に配慮した発言や行動をとる場面が見られる。
ただし、彼のニュータイプ能力には限界もあった。特に戦闘の場では、精神的な鋭さを活かしきれず、地球連邦軍のニュータイプであるアムロ・レイとの初戦で敗北している。このことから、シャリア・ブルのニュータイプ能力は優れた部分と不足した部分が共存しているといえる。
木星エネルギー船団での活躍とその実力
シャリア・ブルは木星エネルギー船団の隊長として、危険な任務に何度も従事し、そのたびに生還した実績を持つ。この活躍により、彼は周囲から高い信頼を得るとともに、ニュータイプとしての可能性も評価された。
木星エネルギー船団での任務は過酷な環境下で行われるため、危機管理能力や状況判断力が求められる。シャリア・ブルはこれらのスキルを活かし、多くの困難を乗り越えてきた。しかし、これらの能力は主に危険な環境での生存に特化しており、対人関係や戦闘能力にはあまり影響を及ぼしていなかった。
結果として、木星で培ったスキルは実戦では十分に発揮されなかった。その理由として、彼の実直な性格が戦場の柔軟な判断を妨げた可能性がある。こうした背景から、シャリア・ブルの実力は評価が分かれるところだ。
シャアとの出会いとコミュニケーション能力
シャリア・ブルは、シャア・アズナブルとの出会いを通じてそのコミュニケーション能力の高さを示した。シャアの内面を見透かしながらも、相手を非難せず、諭すように伝える態度は、彼のニュータイプとしての感受性の高さを象徴している。
特に印象的なのは、シャリア・ブルがシャアの心の奥底にあるザビ家への複雑な感情を理解していた点である。このような深い洞察力があったからこそ、シャリア・ブルはシャアにとって特別な存在となった。
一方で、彼の正直すぎる性格は、シャアの野心を警戒させる結果となった可能性がある。このため、シャアは彼を戦場に送り出し、結果的に初陣で命を落とす運命を辿らせてしまった。この出来事は、シャリア・ブルの対人能力が持つ二面性を示しているといえる。
シャリア・ブルのニュータイプとしての運命と可能性
- 初陣での敗北とその原因
- シャアに殺される運命とは?
- 富野監督と安彦良和の評価の違い
- 別の世界線におけるシャリア・ブルの可能性
初陣での敗北とその原因
シャリア・ブルは、モビルアーマー「ブラウ・ブロ」を駆って地球連邦軍のアムロ・レイと初めて交戦したが、結果として敗北を喫した。この敗北には複数の要因が挙げられる。
まず、シャリア・ブルの戦闘経験が不足していた点が大きい。木星エネルギー船団での任務では危険な環境下での生存能力を発揮していたが、それは戦場での直接的な戦闘スキルとは異なるものであった。そのため、ニュータイプの感応能力を持ちながらも、敵の動きに十分対応できなかった。
また、乗機であるブラウ・ブロも敗因の一因といえる。この機体は大型で高い火力を持つ一方、機動性に欠けるため、アムロの操縦するガンダムのような高機動機体には不利だった。さらに、護衛機を伴わず単独で出撃したことも、シャリア・ブルが不利な状況に陥った理由だと考えられる。
以上の点から、シャリア・ブルの初陣での敗北は、彼自身の経験不足と戦場での状況が重なった結果であるといえる。
シャアに殺される運命とは?
シャリア・ブルが初陣で命を落とした背景には、シャア・アズナブルの采配が関係していると指摘されている。彼が護衛機なしで戦場に送り出されたことは、シャアの意図的な行動だったのではないかという考え方もある。
シャアはシャリア・ブルの実直な性格を理解しており、それが自身の計画において障害になり得ると判断した可能性がある。シャリア・ブルは他者の心情を読み取る力を持っていたため、シャアの野心やザビ家への複雑な思いを察知し、反発する可能性があったと考えられる。このため、シャアは戦場でシャリア・ブルを排除することを選んだのではないか。
さらに、シャアがシャリア・ブルに対して「私はまた友人が増えたようだ」と語った場面も注目される。この言葉は、シャアが過去に親しかった人物に対して使用する特有の言い回しであり、裏ではその人物を利用していたことが暗示される。
このように、シャリア・ブルが戦場で命を落としたのは、単なる偶然ではなく、シャアの計算に基づく結果である可能性が高いといえる。彼の死は物語の重要な転機のひとつとなっている。
富野監督と安彦良和の評価の違い
シャリア・ブルに対する評価は、『機動戦士ガンダム』の制作陣である富野由悠季監督と安彦良和によって大きく異なっている。これは、それぞれのキャラクターへの思い入れや、物語における役割の解釈の違いによるものだ。
富野監督は、シャリア・ブルをニュータイプ部隊の要となる存在として描く構想を持っていた。シャリア・ブルがキシリア・ザビの部隊に配属され、戦場でシャアを補佐する副官の役割を担うという展開も考えられていた。このように富野監督は、シャリア・ブルを物語の重要なキャラクターとして扱っていた。
一方、安彦良和はシャリア・ブルに対する関心が薄かったとされる。安彦がキャラクターデザインを手掛けたものの、途中で『ガンダム』の制作から離脱した時期に登場したのがシャリア・ブルであった。そのため、安彦にとってこのキャラクターは思い入れが少なく、劇場版制作の際にも「いらない」と判断したという説がある。
このように、富野監督がシャリア・ブルを物語の中心に据える可能性を考えたのに対し、安彦はその役割を軽視する立場だった。これが両者の評価の違いを生む大きな要因となっている。
別の世界線におけるシャリア・ブルの可能性
『機動戦士ガンダム』のシナリオには、シャリア・ブルが異なる役割を果たす世界線が存在していた。それを知る手がかりとなるのが、富野由悠季監督が書き残した「トミノメモ」と呼ばれるシノプシスである。このメモには、全52話構成が計画されていた場合のストーリー案が含まれている。
トミノメモによれば、シャリア・ブルは40話に登場し、モビルスーツ「ゲルググ」に乗って活躍していた。さらに、彼は初戦で地球連邦軍の戦艦を撃沈するなど、TVアニメ版よりも大きな戦果を挙げていたとされる。
また、富野監督が執筆した小説版では、シャリア・ブルがシャアの副官的な役割を果たしていた。シャアに心服し、ニュータイプ部隊をまとめる右腕として活躍する姿が描かれている。シャアが彼に信頼を寄せ、素顔を見せる場面も存在しており、二人の関係性がTV版とは全く異なるものとなっている。
これらの異なる世界線は、シャリア・ブルというキャラクターが持つ可能性を示している。もしこの展開が実現していたなら、物語の進行やシャアの計画にも大きな影響を与えたかもしれない。こうした考察が可能なのも、『ガンダム』の奥深さゆえだといえる。
まとめ:シャリア・ブルのニュータイプとしての全体像
以下にポイントをまとめる。
- シャリア・ブルはニュータイプとしての洞察力と感応能力を持つ
- 木星エネルギー船団での活躍がニュータイプ素養の評価につながった
- 戦闘能力よりもコミュニケーション力に優れていた
- シャア・アズナブルの心情を見抜く洞察力を持っていた
- 初陣での敗北は経験不足と機体特性が原因とされる
- ブラウ・ブロ単機での出撃が不利な状況を招いた
- シャアが彼を戦場に送り出した意図が議論されている
- 富野監督は彼を物語の中心的キャラクターと位置付けていた
- 安彦良和はシャリア・ブルに対して冷淡な評価を持っていた
- トミノメモや小説版では副官としての可能性が描かれている
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