スパイ107号と呼ばれた女
ミハル・ラトキエ(年齢不詳)。弟のジル、妹のミリーと3人で暮らす女性には『107号』というコードネームが付けられていた。
ミハルが住む街、『ベルファスト』は基地の街である。
ミハルの主な収入源は、地球連邦軍の基地へ出かけて、ゲートの前で兵士を待ち伏せして土地の物を売ることで生計を立てていた。
3人は小高い丘の上にある家に住んでいた。実はこの家はミハルが所有する家ではなく、他人が所有する家であった。
他人の家に不法に住んでいたわけであるが、実際の持ち主は戦争の空襲で亡くなっていたと思われ、文句を言われる事はなかった。
なお、ミハル達の両親も同じ空襲で亡くなったと思われる。
小さな弟妹を食べさせていくのに、兵士達への売り物だけで十分な収入があったとは考えにくく、亡くなった親が残した貯金があったのではないかと言われている。
近隣の住人は、ミハルが海へ向けて風船を飛ばしているのを目撃しており、スパイ行為を行った代償に金を得ていたことも知っていたようである。
ミハルは『107号』というスパイコードを与えられており、ホワイトベースがベルファストに入港した際にスチル撮影に成功(電波障害のため写ってはいない)、またホワイトベースの乗員と接触し、右のエンジンが不調であるとの情報を入手したことなどがスパイとして評価され、ホワイトベースへの潜入任務が与えられた。
ホワイトベースへ潜入
マッド・アングラ―隊の艦長、フラナガン・ブーン大尉から与えられた潜入任務の内容は、「ホワイトベースの行き先を突き止める事」、「ホワイトベースの性能に関するあらゆる情報を入手する事」の2つであった。
なお、作戦にあたってブーン大尉から、迅速な任務遂行のために士官室を狙う事がミハルへアドバイスされている。
ミハルは戦闘の混乱に乗じて、ホワイトベースへの潜入に成功した。ミハルのホワイトベース潜入の成功は、マッド・アングラ―隊、ホワイトベースの両方に記録が残っている。
この成功の裏には、ホワイトベースのパイロットであった『カイ・シデン』がミハルを匿ったことがある。アムロ・レイがミハルの姿を目撃しているが、カイが「野暮な事聞くなよ」と、アムロを上手くごまかした。
アムロはミハルをカイの彼女とでも思ったのであろう。カイはミハルを「ジャブローで降ろすから」と弁明し、アムロも見なかった事とした。カイがこの時点でミハルがスパイであった事は恐らく気づいていたのではないかと思われる。
その後、民間機に偽装してフラナガン・ブーン大尉とキャリオカ軍曹がホワイトベースに着艦。小用としてトイレに入ったブーン大尉は腕時計に偽装した通信機を使用して艦内からミハルと交信を行った。
この時の交信で、ミハルはホワイトベースの行き先が南米『ジャブロー』の宇宙船ドッグであるとの情報をブーン大尉に知らせている。
カイと共にガンペリーで出撃
同日、カイとミハルは2人でガンペリーに搭乗してホワイトベースから出撃する。この時、カイがパイロットでミハルが爆撃手を担当している。
ミサイルの発射は本来、コクピットから行われたが、戦闘中に敵からの被弾を受け電気系統の一部が故障し、ミハルは格納庫に降りてカタパルトにある手動装置を使ってミサイルを発射することとなった。
ミハルこの際、ミサイルを1発ずつではなく、3発を同時発射している。これによって敵機を撃墜したわけであるが、本来は1発ずつ発射するものだが、ミハルには当然ながらその知識はなく、全ての(3本)発射レバーを同時に操作してしまったのである。
同時に出た3発のミサイルから出た噴射の威力が、カタパルトにいたミハルを機外へ吹き飛ばしてしまったのである。
ちなみに、ミハルが撃墜した機体は、「MAM-07グラブロ」であったとする説と「MSM-07ズゴック」であったとする2説が存在する。
ジオンのスパイ側であったミハルが連邦軍のカイと共に出撃した理由であるが、自分が流した情報によって、ホワイトベースに乗る弟妹と同世代の子供達が危険な目に合ってしまう事に心が痛んだのであろう。
ホワイトベースに帰還したガンペリーにミハルの姿が無い事を知ったカイは、デッキにおいて「死んじゃあなんにもならないじゃねえか、死んじまっちゃあ」と、他の兵達の前でへたり込み涙を流した。
なお、ミハル亡き後の弟(ジル)と妹(ミリー)であるが、一年戦争が終結後もベルファストの家にいたようであるが、その後の消息は不明である。
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